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蓮沼浩のコラム
第482話:ニオイ

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2017年8月17日

 牛さんの診療現場には本当に色々なニオイがあります。一番メジャーなニオイと言えば、やはりサイレージのニオイがあげられます。このニオイをかぐと、「ああ、牧場に来たな~」という気分になります。一般の方もサイレージのニオイをかぐと牧場をイメージする方は多いのではないでしょうか。そして、次にメジャーなニオイと言えば、堆肥のニオイです。こちらも牧場のニオイでは有名ではないでしょうか。
ただ、こっちのニオイはできるだけしない方がいいですね。

 獣医さんは意外とこのニオイというものに対して敏感です。環境からのニオイとは別に牛さんのニオイにも特徴的なものがたくさんあります。たとえば第一胃液のニオイ。これは結構特徴的ですね。甘酢っぱいというか、何とも独特なニオイです。経口投与したり、胃洗浄したりする時にカテーテルを胃の中に入れたときにこのニオイを嗅ぎます。第一胃液が服にかかるとなかなかこのニオイがとれません。包皮の先端についている尿結石のニオイも結構強烈です。陰毛の状態を確認するために素手で触診した場合かなりキツイニオイが手につきます。いつも手袋して触診しようと思うのですが、ついつい素手で触ってしまい後悔することがあります。後産や羊水などのニオイも強いですね。お産をした後にこのニオイが体に残っていると、他の牛さんがこのニオイをかぎにたくさん寄ってくる場合もあります。壊疽している場合のニオイも強烈です。牧場を歩いているとこのニオイで思わず足が止まることがあります。 

 便のニオイも結構重要ですね。子牛の下痢便などそれこそ様々なニオイがあります。便のニオイから大体の診断がつく場合もありますよ。他には牛さんの息のニオイも結構重要です。慢性化膿性肺炎の末期の牛さんなど、息を嗅ぐと膿のニオイがします。このニオイがする時は、非常に厳しい状態であると判断します。あと、乳牛の先生はケトン臭などにも注意されていると思います。他にも腐っているニオイとか、血のニオイとかそれこそさまざまなニオイがあるのですが、サイレージのニオイ以外でいいニオイ・・・ってあまりないかな?

 たくさんのニオイがあるので、小生は結構意識して診療中は鼻をクンクンさせています。ニオイと病気の関係は意外と多いのではないでしょうか。今回はやたらとニオイという言葉が出てきました。

 そして、このニオイという言葉を考えていたら、ふと一番クサイのは小生の診療車ではないかという思いにいたりました。薬品、汗、医療廃棄物、ゴミ等それこそ様々なものが詰まっている診療車の中は様々なニオイのオンパレード。腐ったパンや握り飯が出てきたこともあります。とにかく訳が分からんニオイが充満しています。
小生のカミさんは、車両消毒はしょっちゅうしているぞと言っても、車の中の異様なニオイとシートにダニとかがいっぱいいそうで気持ち悪くて絶対に乗りたくないと断言しています。

 な、何もそこまで言わんでもいいんじゃないかな~~~~
 一応、毎日そこに乗っているんですけど・・・・・

診療車の中はさわやかな香りがするように綺麗にしておきましょうね~~~~

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