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第473話:皮膚縫合

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2017年6月15日

 帝王切開チラホラあります。やはり初産が要注意ですね。最近は戸田先生、笹崎先生がかなり手術も上手になってきたので頼もしい限りです。

 さて、手術をする時にはいろいろな縫合方法があります。その中で結構獣医さんによって違いがあるのが皮膚縫合のやり方ではないでしょうか。今まで色々な先生のところで実際に見てきました。本当に皮膚縫合の方法は糸の種類からなにまで全く違います。色々な理由やこだわりがそれぞれあると思います。本当に面白いですね。糸の種類はナイロン、ワイヤー、絹糸、吸収糸など。縫い方は結節縫合、連続皮内縫合、水平マットレス縫合、連続かがり縫合、8字縫合あたりが多いのではないでしょうか。
 
 では、小生は皮膚縫合をする時どのようにしているか?

 これがまた非常に古臭い感じのする、絹糸を用いた水平マットレス縫合をほぼすべての皮膚縫合で実施しています。一応いろいろ他の方法も試してみました。しかし、不思議なことに結局最後はこの絹糸を用いた水平マットレス縫合に戻ってきてしまったのです。何故だかよくわかりません。一番多くやっているという理由だけかもしれません。最初に教わった方法だからかもしれません。いわゆる「刷り込み」ですね。まあどうであれ、非常に手になじんでいる方法であるとしか言いようがありません。本当は他の方法の方がいいかもしれないのですが・・・。
 学生時代に水平マットレス縫合で縫ったあとを見たときの衝撃はわすれられません。正直に言って、え???何これ???こんなひどい縫い方でいいの???と思った記憶があります。こんなやり方で皮膚がつくのか???とも思いました。痛々しくも見えましたし、とにかく最初に見たとき結構インパクトがありました。

 では、こんな皮膚縫合なのに何故好きなのか?

 理由はいくつかあります。その中でも特筆する点は縫合の速さです。とにかく速いです。この点で言えば、皮内縫合など小生の性格には全く向いていません。小生、縫合に関してはせっかちなダメ獣医さんです。また、皮膚を寄せてしっかりと閉じる力は相当です。ばっちりくっつきます。連続縫合で糸が切れて術創が開いたりするような心配がほとんどありません。ただ、モノフィラメントのナイロン糸を使った場合は脂で滑ったり、結紮してもゆるんだりするので注意が必要です。きつく結紮したつもりが緩んでいて術創が開いてしまうことがあります。この点でも絹糸に軍配があがりますね。絹糸は一度結紮したら非常に緩みにくいです。後は、水平マットレス縫合の別名は臥褥縫合(がじょくほうごう)と言いますが、この臥褥という言葉の意味と縫い方のつながりがよくわからない点もいいですね。臥褥とは「病気などで床につくこと」という意味だそうですが、ストレートに翻訳すると「病気などで床につく縫合」とよくわけのわからない名前になります。おそらくちゃんとした意味があると思うのですが、とにかくこの臥褥という普段は絶対に聞くことのない単語が妙にエキセントリックで好奇心をそそります。臥褥、臥褥、臥褥・・・なんかいい感じ。

しかし実は欠点も多くあります。ざっとあげてみましょう。
・抜糸が必要で、なおかつちょっと難しい
・糸目感染しやすい
・見た目が気持ち悪い
・傷の治りが遅い

 他にも欠点がたくさんあるかもしれません。まあ、今回はあくまでも超個人的な皮膚縫合に関するお話しでした~。

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