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松本大策のコラム
おっぱいが欲しいよー その2

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2017年6月12日

 前回は、自然哺乳のお話でしたが、今回は人工哺乳について考えてみたいと思います。まずは人工哺乳の「手段」についてですが、おおまかに個別ハッチでの手やり哺乳(ほ乳瓶や哺乳バケツによる)と、哺乳ロボットによる集団哺乳があります、それぞれに利点はあるのですが、和牛の場合は哺乳ロボットでは、群の再編成が繰り返されるという免疫抑制上の欠点を、1群頭数がそろうまで、個別ハッチで手やりして、揃ったら群編成を一度で行うという方式の方が肺炎などの発生を抑制できます。

 また、手やり哺乳の場合、バケツやほ乳瓶の消毒が気づかないうちに不完全になっているケースがあるので注意しましょう。

 ロボットの使用上の注意はこれまで何度かお話ししているので過去のコラムを見返していただくとして、ミルクの選択の注意点をいくつか挙げておきましょう。1つは溶けにくいミルクは、ほ乳瓶や機械の洗浄もしにくいので、そこに注意する必要がある、ということです。それから、ダマになるミルクは、ロボットやほ乳瓶の乳首の穴を通る際にダマが壊れて中の粉末が吸引されて、肺炎の引き金になるケースがあるという点です。ミルクのダマが吸引される際に子牛が咳き込むような症状を見かけたら、ミルクの変更も含めて検討しましょう。

 あと、現在、強化哺乳という子牛の発育を促す新しいミルクが各社から出ています。とてもよいものなのですが、中には適応できない子牛もいます。そのような子牛は、早く見抜いてあげて別のミルクに変更してあげた方が子牛に負担になりません。みなさんだって、みんながみんな英才教育に適応できるわけではないでしょ?適応できない子牛の中には、発育が遅れるだけではなく、重症になると第4胃潰瘍を起こす子もいます。そういう弱い子牛には注意してあげましょうね。

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