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笹崎直哉のコラム
Strategy(4)~貧血~

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2017年5月23日

 皆様お疲れ様です。先日「去勢をしてくれ」との往診依頼があり、243式捻転去勢器を診療車に積みいざ出発。到着後、農家さんはもうすでに牛さんを保定しており、スムーズに去勢を終わらせ「痛かったね、すみませんでした」と牛さんに謝罪をしている中、隣の部屋を覗くと、やけに似た者同士の牛さんが私をじろじろと見ていました。すると農家さんが「先生覚えとらんの~?三つ子じゃ~」とのことで思わず「お!!えー!例の三つ子ですか!こんなに大きくなったのですか!!」と発狂してしまいました。6ヵ月前はこんなに小さくてデコピンでもすれば、バタンと倒れてしまいそうなか弱い牛さんだったのに

今ではこんなに立派になりました。(もう一頭はすごい躍動感でしたので、ピントが合わず載せられませんでした(´;ω;`)

農家さんは3ヵ月間朝に夕に、手やりでミルク3頭分与えていたとのことで(素晴らしいですよね)3頭みんな人懐っこい性格です。このまま順調に大切に育てられていってほしいものですね!(^^)!

 前回のコラムの続きに入ります。大球性低色素性の貧血の話をしましたが、大球性はその名のごとく赤血球のサイズが(容積)が大きいことを示しています。低色素性とは赤血球内に含まれるヘモグロビンの濃度が薄いことを表します。実は赤血球はサイズが大きければ大きいほど未熟であり、成長すればするほど小さくなるのです。

図で例えますと、一番左が今回の症例にあてはまる赤血球になります。また追加で説明を加えますと、図にも記しましたが若い赤血球は核を持っていたり、核の遺残物(ハウエル・ジョリー小体←覚えなくていいですよ)があります。

 今回の貧血は、出血によって失われた赤血球を補おうとして、骨髄や腎臓といった産生工場でたくさんの若い赤血球が作られ、血中に混じってしまっているのが特徴的な所見となるのです。

つづく

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