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笹崎直哉のコラム
逆子デビュー!

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2017年4月17日

 皆様お疲れ様です。実は先日朝、農家さんにお産で呼ばれたのですが農場到着後、早速産道に手を入れ状態を確かめると、これまた赤ちゃんは非常に大きく、お母さん牛の産動は狭く、おまけに逆子という獣医師の頭を悩ませるケース(´;ω;`)。
しかも私は逆子の娩出に1人で立ち会うのは初めてだったので緊張。農家さんも不安そうな雰囲気、、、。

 しかしながら、「よし、こういう時こそ落ち着いて、できることをやっていくのみ」という思考を働かせ、まずは狭い産動を広げてあげることを考え、子宮角の収縮を促し、子宮頸管を広げる作用も持つ薬を血管注射した後、念入りに産動マッサージ。すると20分後くらいしたら何とか胎子の後ろ足の蹄がお母さん牛の外陰部に顔を出し、経過としては順調。
 ここで「よし、お産ロープを介した産動マッサージに切り替えよう」という思考に切り替わり、一端後ろ足2本にお産ロープをかけて、農家さんと私の2人で一本ずつ分け合い声を掛け合いながら比較的弱い力で10回、こまめな牽引を繰り返して行いました。その後、産動に手を入れるとだいぶ広がってはきましたが、胎子の飛節~殿部が太く、このままでは産動のどこかで引っ掛かってしまい、経腟娩出ができないと判断しました。

 すると「まだお母さん牛も立っているし、胎子もバイタルも十分だ。まだマッサージだ。そのあと帝王切開か否か判断しよう」という考えを導き出し、もう一度農家さんと一緒にマッサージに専念。そして産動のリチェックを行うと、、、
 「やった!。この産動なら胎子が引っ掛かずに出せるぞ」という確実な判断ができ、滑車を用いて牽引する準備に取り掛かりました。少し羊水が少なかったので車に積んでいたローションを産動に塗布してあげた後(個人的に、別名お産お助けローションと命名しています)、いざ娩出。

 意外にもスルっと娩出でき。胎子も何もなかったことのように顔を上げ周りをキョロキョロ。子宮脱や腟脱の併発もなくお母さん牛も元気良好。
農場に着いて1時間以上難産介助に時間が掛かりましたが、この喜びの瞬間に立ち会えると、疲れた体もどこかに吹っ飛びますね~~!(^^)!

おしまい

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