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戸田克樹のコラム
第124話「薬が効かない耐性菌④」

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2017年2月15日

鼻の下にニキビができました。戸田はもう29歳なので「ふきでもの」っていうのが正しいのでしょうね。ふきでものか…。はぁ…。(-_-メ)

今回はテトラサイクリン系抗生物質の耐性菌にフォーカスを当てていきます
この抗生物質は細菌のリボソームというタンパク質合成器官をターゲットにします。
テトラサイクリン系は2つあるリボソームのうち「30Sサブユニット」にくっついて、その機能を阻害します(詳しくはコラム113話&114話を参照ください)。

βラクタム系抗生物質と異なり、グラム陰性菌という細胞壁の非常に薄い細菌や細胞壁を持たないマイコプラズマなどにも効果を発揮するため、倒すことのできる細菌は非常に多いというメリットがあります。
しかしその反面、耐性菌が発生しやすいというデメリットがあります。

それには細菌のもつ「プラスミド」が重要な役割を担っています。
それって何なのでしょうか?
細菌のもつDNAとは別に存在する環状のDNA(輪っかみたいなかたちです)がプラスミド。

このプラスミドは普段はあまりお仕事をしません。
細菌のもつ遺伝情報は染色体のDNAにしかありません。プラスミドのもつ遺伝情報は細菌の増殖や生活にはほとんど関与していません。それなのに、増殖のときもちゃっかり複製(コピー)されて次の細胞に伝えられます。

このプラスミドさん。
菌がピンチに陥ったとき、その効果がこれでもか!!というほどに発揮されるのです。

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