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数面麻子のコラム
第156話:愛情を食わせる

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2017年1月20日

 きれいに山になった餌は人間の私が見てもちょっと良い餌のように見えます。牛さんもバラバラに平らになった餌よりも、きれいに整えられた餌の方が口をつけてみたいと思うようです。牛さんに昨日より一口でも多く食べてほしいという思いを込めて餌を掃き寄せた、まさに農家さんの愛情のつまった餌の山。

 ところで、この餌を掃き寄せる際に使用するのは、どこの牛舎を見ても「竹ほうき」です。

 数あるほうきの中でなぜ「竹ほうき」なのでしょうか。以前、巡回中にその理由をお聞きして、非常に感心しました。

 竹ほうきは先がきれいに揃っておらず、たくさんの隙間があります。その構造のおかげで、掃いているうちに餌がかき混ぜられ、牛さんが最初に口をつけた部分とそうでない部分が入れ替わることで、牛さんが新しい餌になったように感じてまた餌を食べてくれるようになるそうです。

 こだわる農家さんでは、竹ほうきを作った人の名前を確認して購入することもあるとのこと。餌の掃き寄せという毎日の作業の中にも農家さんの愛情を感じます。

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