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椎葉絢香のコラム
牛だって不妊治療⑨

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2016年10月19日

③30~45日妊娠で妊娠(+)だったのが、50~60日で妊娠(-)!
 実は…“ゆうこりん”はこのパターンでした…(´;ω;`)ウゥゥ AI後35日で妊娠(+)と分かり(シェパードでは胎子の心拍まで確認しています!)、農家さんと大喜びしたのですが、1ヶ月後に念のための再鑑定したところ、妊娠(-)でした。
 この場合、考えられるのが“胚死滅”です。授精後14日までが最も多く、次いで、30~60日60~90日に多く起こります。胚死滅を事前に診断することは難しいですが、何度も流産するのが1つの特徴です。授精卵が子宮のベッドに降りてくるところまではうまくいくのですが、何らかの原因により授精卵がうまく育つことができません。
 2回以上流産してしまう牛の場合は、この可能性が非常に高いので、繁殖牛としてではなく肥育牛として頑張ってもらった方がいいです。“ゆうこりん”も今、大好きな濃厚飼料をお腹いっぱい食べて大きくなってくれています(。▰´▵`▰。)

 不妊治療について書いてきましたが、最後に、『ETの子牛はAIの子牛より弱い子が多い!』という話をよく聞きますので、簡単に説明しようと思います。

 まず…妊娠中の体の中を考えましょう…
 母体にとって、胎子は自分ではありません。(半分はお父さんの一部なので簡単にいうと邪魔者!) 逆に胎子側から見てもお母さんのお腹の中は自分ではないので異物です。もし、私たちの指にささくれ(生体にとって異物)などが刺さり、中に残ったままだと指が腫れてきて、ささくれを追い出そうとします。すごい痛い状態です(笑)(; ・`д・´) 体の中に異物が入ってくるとこのような反応が起こるのが正常です!

 では、どうして妊娠している状態ではこの炎症や反応が起こらないのでしょうか。つづく・・・(*´▽`*)

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