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松本大策のコラム
先天異常の処置 その2

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2016年9月16日

 さて、昨日から引っ張った「先天異常」の処置ですが(最近ネタがないから引っ張ってすみません…)、実はとても簡単な治療です。
 皮下注射を2週間間隔で2回するだけ!とってもお得(?)です。

 実際に使用した薬剤は、ビタミンD3 2ml+ゼノビタン2ml+ビタミンE注 10ml+パンカル注 10ml筋注(1回だけ)してドン八ヶ岳ADE(ゼノアック)を 5g×20日飼料添加という「肺炎後処置の1回目」と同じもの。
 でもこの症例では、それに加えて、プリモボラン1アンプル+オステトニン1アンプル皮下注を2週間間隔で2回皮下注射してもらいました。

 治療方針の説明をしますね。

 まず、骨格異常を修復するには、曲がった骨を食べてくれる「破骨細胞」と骨を新しく作る「増骨細胞」を活性化させなければなりません。通常の症例では、ビタミンD3で十分なのですが、今回は重症だと言うことで、「カルシトニン」というホルモンを同時に使いました。その薬が「オステトニン」です。このお薬は人間用ですが、獣医師が出荷制限指示書を出せば合法的に使うことができます。プリモボランも同様です。(※抗生物質は絶対にダメですよ。動物で耐性菌を生み出すと人間のお医者さんに迷惑をかけますからね。
 次に、骨格を支える筋肉や靱帯を強化するためには、「タンパク同化ステロイド」を使う必要があると考えました。通常は、ビタミンAでよいのですが、こちらも重症例だということで「プリモボラン」を使いました。

結果はビデオの1(処置後4日目:生後16日)

と2(第2回処置日:生後1ヶ月)

および3(生後2ヶ月)

をご覧下さい。

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