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松本大策のコラム
今年の夏は…

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2016年7月25日

 今回は番外編で、季節のお話をしたいと思います。
 いつだったか沖縄県の宮古島に講演に行った際、タクシーの運転手さんが「今年はデイゴの花が咲かないから台風はこないさ」と話してくださったのを思い出しました。

 その時は「デイゴという植物は、台風のような危険を察知できて、そういう時は花を咲かせて種として子孫を残すのかな?」と理系君らしく考えただけだったのですが、フタを開けてみたら実際史上1番目(2番目だっけ?我ながらいい加減だなぁ)に、台風1号の発生が遅く、その後も発生の兆しがないようです。

 気象の専門家は、昨年までのエルニーニョ現象(南米沖の海水温度が高くなる現象)が収束して、ラニーニャ現象(逆に南米沖の海水温が低くなる現象)が起こり、
太平洋高気圧の勢力が強いので、台風のエネルギーとなる日本の南の海水の温度が低いので、台風が発生しにくい、みたいなことを話しています。(僕には今ひとつ理屈が解らないのですが)。

 それでも、地球温暖化の影響なのか、人間の生活活動による影響なのか、気温は高そうです。地域で雨が多すぎて日照時間の不足で作物の出来が悪かったりたり、雨不足で関東圏は貯水量が不足したり干ばつでの不作が懸念されたりしています。

 僕たちは、一生懸命畜産の世界で、病気を予防したり、生産性を高くしたり、と努力をしていますが、やはり「畜産も農業なのだなぁ」と当たり前のことを実感しています。粗飼料やイナワラの出来が悪いと牛さんは調子が悪くなりますし、気温が高いと肝臓をはじめとする大切な器官で働く「酵素」の働きが低下して、やはり牛さんの状態が悪くなります。第一、気圧が変動しただけで、牛さんは第一胃の異常発酵を起こしやすく、食欲の低下や消化不良を起こします。

 今回のコラムは、なんか取り止めがなく、何を言いたいのか?って言われそうですが、一番お伝えしたいのは、「近い未来を予想して考えること」と「近い未来の状況に備えること」です。
 これまでも台風の準備についてとか、暑熱対策について、とかのお話をしてきました。しかし、いずれも手遅れになっては仕方がありません。

 1日の終わりにでも、少しだけ明日のこと、来週のこと、来月のこと、次の季節のこと、などを自分の予定だけでなく、世界の気象予測や政治経済の状況なども、自分なりに考えてみましょう。あわてず対処できるはずです。

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